ヘビーライトノベル『ニューノー罰』
- retromup
- 2021年9月27日
- 読了時間: 2分
悪意が人間の根底にあるとするのならば、善意とは、何に対して、もたらされるのだろうか。

悪意と善意は表裏一体だ。人格によって、もたらされる。
多重人格者の男・酔狂と謎の眼帯少女・カロンは、
善意と悪意をゴチャゴチャに混ぜて、形成されたアンドロイドのような人間だ。
基本的に無機質で冷淡で冷酷でクール。資金源は主にギャンブルだ。
そして、緊急事態宣言がゾンビによるパンデミックにより、決定された。
その翌日。ニュース等、閲覧する習慣がない酔狂。早朝からギャンブルに
明け暮れていて、酒臭い息でパチスロ店に並んでいて、そこで、
立ち眩みが起きて、倒れたところを、カロンにたすけられた。
「大丈夫?」
カロンは言う。
「あ、ありがとう。」
酔狂は自分の惨めさ、バカさ、クレイジーさ加減に
呆れている。そして、
「向こうの方で。騒いでるけど、何かあったのか?」
と、カロンに尋ねると、カロンは、
「パンデミックが起きたよ。ゾンビによるね。」
「パ、パンデミック?」
「そうさ、あたしは、ここへ居るつもりはない。早々に逃げようと思う。」
「どこへ?」
「海外さ。」
「渡航費用は?」
「うっ、、、」
「おじさんも、、、所持金が無くて。ごめんな。」
「あんたは、おじいさんだよ。」
「ごめん。えへへ。」
後を追うようにパンデミックのゾンビが来る。
迫りくるゾンビ。しかし、ふたりは気づかない。
鈍感なふたり。そして、、、
「これから、ニューノーマルの時代や社会になる。」
「それなら、人間として、キチンとしないと、俺も改めよう。。」
「ニューノーマルになったら。いろいろ、変わるぞ。」
「そ、そうだなぁ。あ、あああああああ。」
ガブリ、と、ひと噛み。ゾンビに後方から噛まれる酔狂。
そして、逃げる余裕もないまま、カロンも噛まれる。
「にゅ、ニューノーマルめ~~~。」
「あははははははははは~~~。」
クレイジーに笑う、カロン。
眼帯を外し、ゾンビになる自分に酔いしれる。
「あたしはゾンビだよ。ゾンビになっちまったよ。」
「お、俺もだ。ゾンビだ。ゾンビのボディだ。」
「腐ってる。」
「でも、これじゃ、ニューノーマル迎える前に。。。。。。」
「あたしも」
「俺も」
「ニューノー罰」(ふたりで目を合わせながら)「だね。」
酔狂とカロンは、クレイジーに笑い合う。
世界の終了という、時間の感覚がなくなるまで。
(了)













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